Android: Dagger2でDIをする. 基本編 Part1

概要

この記事では, 最初にDIとは何かについて説明します. DIを理解した後にDagger2の基本的な使い方を紹介します. Dagger2はDI(Dependency Injection)をするライブラリです.

DIとは?

DIとはDependency Injectionの略で, 訳すと「依存性の注入」です. ここでいう依存とは クラス同士の依存関係のことを表します. クラス同士の依存関係は, 委譲パターンの時に現れます.

例えば, 以下のコードがあったとします.

class Blogger {
    public Blogger() {
    }

    public void post(String title) {
        // 何かメインの処理
        // ...

        // fileにlogを取る
        FileLogger logger = new FileLogger(title);
        logger.logging();
    }
}

class FileLogger implements Logger {
    @Override
    public void logging(String... messages) {
        // fileにmessagesを書き出す
        File file = new File("hoge.txt");
        ...
    }
}

interface Logger {
    void logging(String messgae);
}

クラスBloggerはクラスFileLoggerに依存している. ことが分かります. なぜなら, 関数post内でFileLoggerクラスを利用しているためです. この書き方だと, BloggerクラスはFileLoggerに依存しているため, Loggerインターフェースを実装した旨味がありません.

次に, 少しコードを変更して, Loggerインターフェースを実装したインスタンスを引数で渡せるように変更します.

class Blogger {
    Logger logger;

    public Blogger(Logger logger) {
        this.logger = logger;
    }

    public void post(String title) {
        // 何かメインの処理
        // ...

        // logを取る
        logger.logging();
    }
}

こうすることで外部から引数で, Loggerインターフェースを実装した, FileLoggerクラス等を注入できるようになります. これがDI(依存性の注入)パターンです.

これの何が嬉しいんでしょうか? それは, Bloggerクラスを変更せずに, logの取り方を変えることが出来る点です! 委譲する先のクラス(Logger)を簡単に変更することが出来ます.

余談ですが, AngularJSを使ったことのある方ならfunction($scope, $resources) {}のようなコードを見たことがあると思います. これも典型的なDIパターンになります.

DIが便利なのは分かっていただけたと思います. しかし, いちいち引数にインスタンスを指定するのはちと面倒です. なので, DIを補佐してくれるライブラリを使うのが一般的です. その中でもAndroidで若手有望株Dagger2について説明します.

Dagger2概念

Dagger2は大きく分けて, Component, Module Provide, Inject の4つの要素があります. 上記を定義しクラス間の依存関係を解決します.

これだけでは分からないと思うので, 具体的な例をあげて説明します.

依存関係の定義

最初に依存関係を定義します. javax.inject.Injectアノテーションを使います.

上記のBloggerクラスに適用してみます. Field Injection, Constructor Injectionの2種類の定義方法があります.

// inject field directly
class Blogger {
    @Inject Logger logger;

    public Blogger() {
    }
}

or

// Constructor Injection
class Blogger {
    Logger logger;

    @Inject
    public Blogger(Logger logger) {
        this.logger = logger;
    }
}

これで, 依存関係の定義は完了です. Field, Constructor Injectionの両方の書き方を覚えて下さい.

Moduleの作成

Moduleには, 上記の@Injectで定義したクラスのインスタンスの生成方法を記述します. @Module@Providesアノテーションを使い, 定義します.

Loggerを提供するModuleを作成します.

@Module
class DebugModule {
    @Provides
    Logger provideLogger() {
        return new FileLogger();
    }
}

これで, Loggerを提供するModuleの定義が出来ました.

最後にComponentを作成します.

Componentの作成

Componentは複数Moduleをまとめたものです.

@Component(modules = DebugModule.class)
interface ApplicationComponent {
    Blogger make();
}

これで, 依存関係を解決してBloggerを生成することが出来ます.

アプリ側では以下のように記述します.

ApplicationComponent component = DaggerApplicationComponent.create();
Blogger blogger = component.make();
blogger.post();

これが基本的なDagger2の使い方です. まとめると

感想

DIのとはなんぞやということと, Dagger2の基本概念を説明しました. 最初は手順が多くて大変だと思いますが, 覚えてしまうと案外簡単に使えます. Androidの場合, テスト, Debug, Production環境の大きく3つの環境がありますが, それぞれの環境を切り替えることも容易になります(詳しくはPart2で話します).

Part2では, より実践的なDagger2の使い方について説明します.

参考

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