心理学: 人間は合理的な判断は出来ない

人間は合理的な判断をしているようで, 実はそんなにしていないという話をします.

例: 値引き商品

普段, 1,000円のとんかつ定食があるとします. その日は割引セールで40%OFFの600円になっていました. この時に本来は, 「このとんかつ定食が600円」が高いかどうかで判断を下さないといけません. しかし, 脳では「普段より400円安い!お得!!」と判断し, お得なとんかつ定食を選ぶ可能性があがります.

この現象を, アンカリング効果(Anchoring effect)と呼びます. 1,000円がアンカー(一種の基準)になり, 600円を非常にお得と判断してしまいます. 例えば, 隣の店で全く同じとんかつ定食が600円で売られているとしても, こちらのとんかつ定食がお得だと判断します. これは合理的な判断とはいえません.

ものを販売する時はアンカーを意識して値段設定すると, ユーザの心を揺さぶることが出来ます.

合理的に判断するなら, 割引前の値段には影響を受けてはダメです. メーカーは定価を高めに設定しています. 冷凍食品なんかは常に割引セールをしています.

例: 全く無関係な数字

「値引き商品だったら, なんとなく影響を受けている気がする」という人は多いと思います. しかし, 全く無関係な数字にも人間は影響を受けます.

事前に10 or 50という数字を見せられているとします. 次にAndroid5.0のシェア率答えてもらいます. この時, Android5.0のシェア率に関してなんら情報を持っていなければ, 10 or 50という数字に大きく影響を受けることが分かっています. これは10 or 50という数字が基準(アンカリング)とし, 正解だと思う数字に調整するためです.

これは, 直感的には「そんなことないよと」言いたいところですが, 多くの人間が無関係な数字に影響を受けるようです.

合理的に判断するなら, 事前の数字に影響を受けてはダメです. しかし, よほど意識しない限り人間の脳は無関係な数字にも影響を受けてしまいます.

例: いろいろなレンジ帯の商品群

ある高級マットレスA,Bがあるとします. マットレスAは78,000円, マットレスBは128,000円の時に, マットレスBを選ばせるためにはどうするのがよいでしょうか? それは, マットレスC 488,000円を売り出すことです.

マットレスA 78,000円, マットレスB 128,000円, マットレスC 488,000円とあると, マットレスAだと安すぎて不安, マットレスCだと高すぎるし, ちょうど中間帯のマットレスBを買おうと誘導することが出来ます.

多くの電気メーカー, 自動車メーカー等が幅広い価格帯を持っているのは, お手頃感, お得感を出すためだと考えられます.

参考

Written by